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学校の「荒れ」を止める方法【一言でズバリ】
ここまでの状況になると、もう教育というよりも「戦い」です。
参考
「紙飛行機」や「紙ボール」が流行りだすのは、不吉な兆候。
「食べ物」で遊ぶ状態は、末期症状です。
荒れた学級や学校を立て直そうとするときは、「力の戦い」ではなく「知能戦」です。
学校の荒れを止める方法は、
一言で言うと、教師の「シミュレーション能力」にかかっています。
最大のポイント
シミュレーション能力とは…
「シミュレーション」とは、生徒や教師の、「日ごと、週ごと、月ごと、年単位」の動きを予測し、それに応じた計画を立て、行動させることです。
シミュレーションが綿密にでき、生徒や教師を想定通りに動かすための「行動指示」がすぐに出せることは、荒れを止めるために何よりも必要なスキルになります。
さらに、
教師の視線のポイントは
シミュレーションの視線の先には…
「必ず一人ひとりの生徒の姿があること」が大事なポイントです。
このシミュレーション能力が、教師にとってどれほど大切なことか。
これができる人ほど、指導力のある教師だと言えます。
はっきり言えることは、
シミュレーションのないところに、「指導」はありません。
学校が「荒れる」理由
「学校が荒れる」と言っても、理由はさまざまです。
教師や学校に責任がない場合ももちろんあります。
荒れの一因は…
・家庭や地域の「環境」に影響されるもの
・先輩や家族などの「人」に影響されるもの
・テレビやネット、ニュースなどの「メディア」に影響されるもの
・発達障害など子どもの「内面に起因」するもの など
でも、教師として最低限取り除いてしまいたいのは、学校や教師の「理不尽」な部分です。
「教師の理不尽さ」によって、荒れている状態。
それだと、荒れの責任は「学校」にあります。
学校に責任があるような状態が続くと、荒れている状態は長期化してしまいます。
とにかく、どこに原因があるのか、分析することが最初に必要になります。
そして、学校が荒れている場合でも、
「ハイパーシミュレーション能力」があれば、荒れは収束しやすいでしょう。
まず、学級崩壊、学校崩壊のステージ変化について見てみます。
学級崩壊、学校崩壊のステージ変化
教師は、つねに先回り先回りを続けることです。
と、生徒に質問されてから、答えを考えているようでは、残念ながら徐々にゆるみます。
注意ポイント
みたいに思っている先生には、厳しいようですが、残念ながら立て直しどころか、クラス経営はすぐに成立しなくなります。
教師の「嘆き」には、よい結果は待ってません。
「イエローシグナル」から「レッドシグナル」へ
生徒の質問は、
時には
「すばらしい!」
「ナイス深掘り!」
「ナイスタイミング!」
などと、教師を救ってくれるものもあります。
生徒の発言は、まさに宝。
でも、日常の「行動指示」に対して後手に回ることが、積み重なるのはイエローシグナルです。
ってなってしまいますよね。
そうなると、どうなるか。
ポイント
もともと荒れそうな生徒は、そもそも荒れる可能性がある。
のに、
それにプラス
もともと荒れそうにない普通の生徒が、「たよんねえなあ~雰囲気」に流され、徐々に荒れ始める。
これが、非常にピンチな状況を生み出します。
普通の生徒がゆるい雰囲気に流され始めることは、とても危険な状態です。
一気にこうはならないにしても、徐々に進み始めた流れは、なかなか止まりません。
さらに上がる「レッドシグナル」のステージ変化
その結果迎えるのが、
誰も止められないという無秩序なクラスの状態です。
レッドシグナルのレベル1
日常生活が乱れてしまいます。
黒板に落書き。
提出物が出ない。宿題もしない。
授業中は私語だらけ。
遅刻者が増える。
指示しても聞かない。
レッドシグナルのレベル2
ヘラヘラして教師をバカにする。
学校の物を平気で壊す。
人の持ち物を盗む。壊す。
所かまわず、つばを吐く。
黒板以外のところに落書き。
菓子、スマホが登場する。
ネット上の指導も並行する。
校舎の上の階から外に物を投げる。
レッドシグナルのレベル3
どなって叱るとどなり返してすごんでくる。
教師に対して暴言を吐きだす。
授業中でもおかまいなしに他のクラスに入りだす。
勝手に外出してジュースや軽食を買いに行く。
教師に手を出す。
学校の外でも違法行為が発生する。
みなさんだったら、どうしますか。
この状況。
具体的な対策について考えてみましょう。
学級、学校崩壊を止めるには
「一事が万事。」
崩壊した集団は、自分だけでは、もう止められなくなります。
秩序の無い、無法地帯になります。
そうなる前に先手を打っておくべきなんですが、
初めての担任で、学級崩壊を経験したことがない先生は、
どうなると危険な状態なのか判断しにくいかも知れません。
そして気が付けば、荒れている。
そんな教室に誰も行きたいと思いませんよね。
結果、限界を迎えてしまいます。
教師にとって最上級にしんどいことです。
残念ながら、荒れ狂ってしまった学級はすぐ元通りにはなりません。
(指導者が変われば、すぐ変化する場合もありますが)
実質、荒れを止めるのは、
「その次の学年から」になってしまいます。
そして、荒れた年と同じような指導をしていても、また同じ結果になりかねないので、指導方法を変えなければなりません。
ポイント
先手必勝!先回り精神!
全ては、生徒を先回りした「ハイパーシミュレーション」にかかっています。
先にも書いたように、現在荒れている「その学年」には、効き目は薄いかも知れません。
しかし、新しく持つことになる学年では「ハイパーシミュレーション」が必ず効果を発揮するはずなので、今の学年のうちから「ハイパーシミュレーション」の訓練をしておきましょう。
ハイパーシミュレーションⅠ【基本】
まずは、「絶対的なシミュレーション」をすること
どんな場面でも、起こりうることを想定して事前に指導します。
それも、一人ひとりの生徒を見すえて指導することが重要です。
全体に向けて指導するなかには、配慮を要する子もいます。
ほとんどの生徒ができることだけを指導するのではなく、
全員を見すえた指導が、必要不可欠です。
これが教師にとって、根本的に必要な「シミュレーションスタンス」です。
「嘆いている教師」のパターンに陥っていなければ、まだまだ回復可能です。
もしも、今現在が荒れてしまった状態であっても、このシミュレーションスタンスがあれば、打開策や改善案が生み出せるはずです。
パターン例
①すぐに取り掛かれる状態になっているか
→どうすればすぐ取り掛かれる状況に変わるか。
→さらに、※生徒も育てながらそうするには
②いつどこで着替えるのか、自分はどう動くのか
→2時間後に着替えるときでも、教室に戻らない時間割なら体操服を持って移動させる
→さらに、※生徒も育てながらそうするには
③配る時間がタイトなら、どうするか
→時間がないと予測するならすべてまとめてホッチキス
→さらに、※生徒も育てながらそうするには
④休みの子の対応はいつするのか
→授業の無い時間か、夕方か、またはリモートの掲示板か。
→さらに、※生徒も育てながらそうするには
⑤教室の美化の維持、変化を即座に指導できるか
→掲示物のバランスは良いか、端はそろっているか、掃除道具など教室備品は決まった所にあるか。
→さらに、※生徒も育てながらそうするには
⑥他学年の状況は知っているか
→他の学年が今、どこでどんな活動をしているか。それに応じて、カギの開閉や次時の準備物を工面する。
→さらに、※生徒も育てながらそうするには
⑦今の状況を把握し、何がどうなったらこう指導する。いつどこでどの部分を指導する。誰に指導する、その時、他の生徒は誰がどうする。その場面を見た他の生徒が盛り上がったり冷やかしたりしないために、どうする。誰と連携する。
→指導する前には、状況を把握することがもっとも大切。
→さらに、※生徒も育てながらそうするには
⑧そして、これは来週や来月、来学期の何とつながるのか。
→今学期の行事や、懇談で展示してみてもらおう。や、今回の、失敗を次の行事に生かせるように持っていこう。
→さらに、※生徒も育てながらそうするには
などなど。
常々考えておくことです。
「絶対的なシミュレーション」はいわば、基本的なシミュレーションです。
「絶対必要なシミュレーション」という意味です。
学校の活動には「つながり」があります。
年間、あるいは卒業までの間で「つながり」を意識して指導することです。
やはり、単発、単発で終えないように指導を進めていくことが重要です。
時間だけが奪われます。
そして必ずもう一歩踏み込んで、
「生徒も育てながら」日々の指導を進めていくように心がけることです。
教師一人でやろうとすると、当然、慌ただしさがすぐにマックスになります。
「生徒ができること」はできるだけ「生徒にさせる、してもらうこと」を意識すること。
これは、生徒の成長も期待できるし、さらには、自分自身の日々の業務の多忙さを軽減することにもつながります。
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ハイパーシミュレーションⅡ【発展】
学級を荒れさせたくないのなら、細部までシミュレーションすることも重要です。
つまり、
「細かいシミュレーション」をすること
だけでなく、
とか
や
さらには
や。
ときには
とか
と横のつながりを意識させたり、
ルーティンさせたり
効率的にすることも
細かすぎるくらい、声をかけまくります。
「なぜ、そこにそれがあるのか」
「なぜ、これが今なのか?」
「どうして、今こうなのか?」
いろいろなことに、自分の感情をおり交ぜてシミュレーションの結果や、予測を語るのです。
聞かない場合もあります。
それでも語ります。
ときには、書いて配ります。
ときには、張り出します。
さらには、机に貼り付けておきます。
しつこいほどに、シミュレーションを提示しつづけます。
注意ポイント
そこまですると、「生徒の主体性が育たない」「失敗することにも意味があるのでは」という考えもあると思います。
その通りです。
普段通りのことが「できる」健全な学校の状態なら、もちろん、そうでしょう。
しかし、
「荒れてる状態」を立て直すには、「放置」ではまったく機能できるようにはなりません。
「荒れてる」状態は、学校の「機能不全」の状態です。
一発でも多く、効果的な教師の「シミュレーション砲」を「放ち続ける」しかありません。
「広いシミュレーション」も考える
対生徒の場合だけでなく、保護者や地域、小学校(中学校)等の他校を巻き込んだシミュレーションもします。
つまり、「広いシミュレーション」です。
おそらく、
このタイミングで保護者が来るだろう。
このタイミングで地域の人が来るだろう。
ここにいたら、保護者と生徒に同時に出くわすだろう。
そのときに、これを伝えよう。
保護者にこっそり手紙を配布しよう。
保護者からの返事はこの方法で受け取ろう。
この日の時間割は、次にこれが来るから、この順番で動かしていこう。
この場所に来たら、これが見えるように、ここに貼り出しておこう。
この休み時間に、この場所に来るはずだから、ここを見回りしよう。
など、シミュレーションは、
教室の外へも作り出していくことも考える必要があります。
【高難度】「長期的なシミュレーション」とは
長期的なシミュレーションは、その日や、その週だけを想定した動きの予測ではありません。
何か月後、または来年度を見越したシミュレーションです。
ポイント
「あの子がリーダーになるだろう。」
などと、目に見えるものを長期的に予測することが多いですが、
本当のポイントは
周りを驚かすほど「目に見えない」ものを長期的に予測したシミュレーションが効果を上げます。
教師のもっているひらめきや、直観が必要なシミュレーションになってきます。
とか
逆もまたありかと、
あるいは、
毎朝、7時半に教室に来て勉強している子がいたら
と、折に触れて紹介したり。
荒れている学校では、「学習」に向かう姿は見られにくいかも知れませんが。
それでも、まだ一握りの子どもたちは、「機能不全」な学校の状態でも前を向こうとしているはずです。
〈生徒指導提要も参考に〉
>>【知らないと損!?】「生徒指導提要」のポイントは【何に使うの】
〈あとちょっと時間がほしい〉
学校の「荒れ」を止める方法【一言で言うとこれしかない】まとめ
今回は、学校の「荒れ」を止める方法についてまとめました。
一口に学校と行っても、中身はまったくといっていいほど、違うもの。
だから、どのような切り口で、生徒の心にアプローチしていくかは、それぞれの先生の直観や、スキルにかかっている所もあります。
ただ「指をくわえてみている。卒業するのを待っているだけ」といった状況になると、その学校はとても危険な状態です。
年度が変わっても同じことが、起こる可能性があります。
一人ひとりの教師の力では、できることは、たかがしれてるかも知れません。
でも、そこに諦めずなんとか、思いを届けようとする教師の姿に響く子どもも必ずいます。
必死な姿を応援しよう、助けてあげよう、と思う子どもたちも出てきます。
もちろん、教師の連携も強まる可能性があります。
シミュレーションは「先回り精神」
教育は、「先手必勝」これが抜群に生きるところです。
教材研究も大事ですが、よりよい効果的な指導するためにはイメージトレーニングは欠かせないものです。
おしまい
\何度でも参考になる/