昨今、
2000年代に入ってから2020年前期頃まで
結婚した人の3分の1の家庭が離婚しています。
離婚世帯数は、
1960年代に、10万件
2000年には、26万件。
理由について
「教育社会学」的な見地からまとめてみます。
あしからず。
Contents
「離婚件数」が増加するある理由【教育との関係性はコレ】
「婚姻件数」と「離婚件数」の推移について
離婚世帯数が増えたなんて言っても、
離婚件数増加の理由についてまとめる前に、
「婚姻件数」と「離婚件数」の年次推移についてのグラフを見てみましょう。
確かに
「婚姻件数」は減ってきています。
結婚する人の数は少なくなってきているんですね。
一方、
「離婚件数」は若干増えているように見えます。
では
「離婚件数」を「割合」で見るとどうなるでしょう。
日本の「離婚率」推移について
離婚の数を「割合」でみると。
※データは、すべて総務省統計局より引用しました。
注意ポイント
平成10年(1998年)頃から5年間で、「離婚率」は一気に10%ほど伸びています。
この頃は、すでに「バツイチ」という言葉も浸透していました。
その後、「バツイチ」という言葉は急速に広まりました。
それまでの昭和時代は、
離婚は「後ろめたい」ものといった印象がありました。
しかし、この記者会見から「離婚」に対する認識が、なんとなく「明るい」印象に変化した感がありました。
「離婚率」が高くなった理由とは
単純に「婚姻件数」が減ったから、「離婚率」があがったのではありません。
日本の「離婚率」がぐんと伸びたのは、「婚姻件数」が減り、「離婚件数」がなだらかに伸びてきているからです。
「離婚率」が高くなった一番の理由だと考えられるのは「家族の態様変化」です。
家族の「態様」とは、「家族構成メンバー」のことです。
つまり、核家族、シングル世帯、3世代世帯など、家族の在り方が変化してきたことが、離婚率増加の原因の一つなのです。
次の、内閣府資料から、どんな変化がみられるでしょうか。
「家族の姿の変化」についてまとめてあります。
ここで注目すべきは「3世代家庭」の減少です。
これまで「3世代家族」だったであろう人たちが、何らかの理由で「核家族」になっています。
この「核家族化」が「離婚原因」の一つだと考えられます。
核家族率は減少していますが、それは単に「独身世帯」が増えたからです。
3世代家族の暮らしは、令和になってから「1割」にも満たないのです。
核家族のなかでは、「遠慮」が減ります。
親も子どもも、好きなことを言いあいます。
3世代だと、
おじいちゃんやおばあちゃんに対しては、
お母さんが遠慮したり、養子だとお父さんが遠慮したりします。
また、
お父さんとお母さんのもめごともあります。
おばあちゃんとお母さんのもめごともあります。
おじいちゃんおばあちゃんに、ズバッ言いにくいことは、子どもが代わりにバシッと言ってくれたりもします。
3世代家庭では、
全員が「もめごと」の当事者ではなく、「誰か」がニュートラルな存在で残る可能性が高いのです。
この「誰か」の存在が重要だったんです。
ほかの家に嫁ぎ、暮らしていくことが大変なのはよくわかります。
そう思ったりもするでしょう。
でも実は、
「3世代家庭」で一番救われるのが「子ども」なのです。
「3世代家庭」が多かった頃、離婚率は低かった。
それは、「我慢」や「常にニュートラルで冷静なだれか」が居たことも一因ですが、もう一つ理由があります。
それは、「虐待」の数です。
3世代家庭が多かったころ、「虐待」は少なかった。
「3世代家庭」ではあまりなかった「虐待」が、「核家族」になると進行することがあります。
家族の態様変化によって「虐待」が増えてきていると考えられます。
児童虐待件数の推移
平成に入ってからの「虐待件数」の推移は次のようになっています。
注意ポイント
「離婚率」が10%ほど伸びた「平成10年(1998年)頃からの5年間」は
「虐待」が目覚め始めた時期です。
目覚めたもの、つまり世の中に発生したものは、すぐにその火の粉を消すことはできません。
「虐待」は家庭のなかに、「定着」していきます。
昔は、
という傾向が強かったが、今では
でした。人々の感覚が少しずつマヒしてきているのです。
「虐待」を目の当たりにし、それに耐えられない親。
夫婦間のトラブルの矛先が、子どもに向けられて耐え難い親。
子どもに当たりたくて、当たってるわけじゃない。
結果、家族は離れざるを得なくなります。
離れて暮らしたほうが、子どもにとって「平和」な場合がある、
自分にとって「幸せ」な暮らしがある、
また、さらには言葉にできない、当人にしかわからない苦悩がそこに有り
「人々はよりよい生活」と思える判断をしていくのです。
しかし、「虐待件数」は「離婚」したからといって減るわけでありません。
むしろ、増えています。
「虐待件数」のグラフから見ると、
「虐待」が原因で「離婚する」というのはあくまでも一因で、
逆に「離婚した」から「虐待」が始まったというのも少なくないように思われます。
「離婚率」が増えているその他の理由
今回、「家族の態様変化」を離婚の一要因みて考察しましたが、ほかにもいろいろな原因が考えられます。
考えられるその他の原因
1、夫婦の価値観の多様化
夫婦の価値観は現代では、多様化してきました。昔は、夫は外で働き、妻は家庭に専念するのが一般的でしたが、女性の社会進出も当たり前になりました。本来、男性と女性は「課題を見つける目」に違いがあります。性別の差からか、別の部分を「課題」と見ることが多くあります。女性の社会進出により、「家庭内の課題発見」や「仕事と家庭のバランス」を夫婦ともに求められるようになり、夫婦間でそのバランスに不一致が生じているとも考えられます。
2、コミュニケーション不足
意見や気持ちのすれ違い、から素直にコミュニケーションが取れなくなっている状況が考えられます。気持ちを話し合うことができない場合、問題が解決せずに蓄積し、最終的に大きな差が生まれる場合が考えられます。
3、子育ての負担
夫婦の在り方が変化してきた近年では、子育ては、夫婦間で適切に分担することが必要だと考えられます。共働き家庭では、どちらか一方が育児を背負い込むと、不満やストレスが生じてきます。
4、女性の社会的精神的な自立
女性の社会進出や教育水準は、日本の現代社会では非常に高くなっています。それは、女性の「自立」を後押しするものとなっています。女性の自立は現代社会では、夫婦間のパワーバランスを新しい形へと変化させてきたと考えられます。その結果、価値観の不一致やコミュニケーションの不足、パートナーへの不満などが浮き彫りになってきた傾向が考えられます。
このような状況も、家庭を不安定な状況へ導いている要因と考えられます。
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「離婚率」を減らすための「解決策」は
価値観の多様化、家族の態様変化など、じわじわと時が流れ、人々の生活は変化しています。
時代によって人が変化していくことは自然なことです。
しかし、なかにはさみしい思いをしている子どもがいるのも事実です。
日本の「構造」を変えることで、夫婦の問題を解決する方法はないのでしょうか。
まとめてみます。
1、教育プログラムの充実
「家庭」や「生活」、「結婚」に必要なスキルや知識を教育する。
学校だけでなく社会教育、生涯教育のとして、そのような内容の教育を普及する。ほとんど人から教えてもらうことのない家庭生活。「生き方」は本人に任されているのが、今の社会です。
それを満喫して生きていく人もいれば、そうでない人もいるでしょう。自分を見つめ直したいときに、必要な知識やスキルを持っていると自分を支えてくれるはずです。また、結婚生活や家庭生活についてのカウンセリングやセミナーなどの教育プログラムを充実させることも有効です。
2、女性の社会進出の促進
女性の社会進出が、離婚に「拍車をかける」という見方もあります。そのことからすると、矛盾するトピックです。
しかし、女性の社会進出により、家庭に起こりうるメリットとして、「家計負担の軽減」「夫婦間の不満やストレスの軽減の可能性」が考えられます。女性が働きやすい環境を整備し、男女共同参画社会を実現していくことは、重要なことです。
ただし、先に書いたように「女性の自立」は、家庭によっては、逆効果になることもあります。パートナーである男性がしっかりとサポートできれば、円満な家庭生活が営めます。
3、地域社会の支援
地域の福祉施設や相談所、またはボランティア活動などを通じて、家族の問題や夫婦関係の改善について話せる場所が必要です。プライバシーの問題にかかわる場合も多いので、このような内容の相談は、最初は電話や匿名で行えることも理想でしょう。
また、相談だけでなく、実際にサポートしてもらったり、情報提供をしてもらったりすることも必要な場合があるでしょう。核家族のスタイルに、「信頼できる中立な第三者」が関わってくれるスタイルです。
4、夫婦関係の改善支援に関わる専門機関の拡充
結局は、「二人の問題」。だから、二人で解決できる道を考えよう、となる傾向があります。
しかし、夫婦関係の改善支援に関する専門家を活用してみることも一つの方法です。カウンセリングやセラピー、夫婦向けの相談サービスなど、専門家が関わるサービスや専門機関を拡充し、活用につなげていくことも必要です。
5、政策を改善する
国や自治体の制度を改善していくことも一つの方法と考えられます。
離婚に関する制度や法律を緩和したり、拡充したりすることで、夫婦のライフスタイルを今より柔軟なものに推し進めていくことも一つの方法です。厳しい制度によって、夫婦の取り締まりを強化したり、家庭の会計を圧迫したりするのではなく、夫婦がストレスフリーで笑顔で生活できるような、制度設計を考えていくことができれば、最高ではないでしょうか。
「夫婦」でできることの「助言」を求められた時
そもそも結婚は二人の問題です。
子どもやほかの家族の思いだけでは、どうにもならない問題を秘めています。
核家族の場合、本当に「二人」になります。
もしも、あなたが「夫婦関係の改善」に関する相談を受けたなら、どのような解決策が考えられるのか。
相談を受けたときに、考えられる「アドバイス」について、いくつか紹介します。
1、コミュニケーションを改善すること
夫婦関係をより良いものにするために、他の第三者がかかわらない場合、自分たちで良好な関係性を築いていくしかありません。
そのためには、「コミュニケーション」を見直すことです。
多くは、コミュニケーション不足や、不適切なやりとりによって関係性が悪くなっていきます。夫婦間で良好なコミュニケーションを増やすことで、互いの考えや気持ちを理解していくことが重要でしょう。
2、妥協する調和すること
夫婦でも親子でも、大前提として、人間はそれぞれに違った価値観を持ちます。その違いを受け入れ、相手のことを理解し、許せるところまで妥協することで、調和関係が生まれてきます。
3、専門家による支援を受けること
カウンセリングやセラピー、または法的アドバイスなどを受けることで関係が改善する場合もあります。専門家は、夫婦関係の諸問題を解決するためのアドバイスや手順を持っています。夫婦二人で専門家による支援を受けてみることもおすすめの方法です。
4、タイムアウトすること
距離を置いてみることです。
時には、夫婦二人が一時的に離れて生活をしてみることも解決策の一つです。距離を置くことで、感情が整理され、冷静になることができます。毎日の生活に追われていると、冷静さが失われてくるものです。タイムアウトをとると、夫婦は自分や相手のことをもう一度理解し直し、再び一緒にいることができるようになる場合があります。
5、「結婚生活」は「共生」と意識をすること
筋を話すと、人によっては「説教臭い」と思われるかも知れませんが。
夫婦は、互いの生活をよりよいものとして築きたいという根本的な気持ちは同じはず。お互いが気持ちよく生活するために必要なことを見直し、少しずつ歩み寄るような努力をしてみるのも大切なことです。50センチずつ歩み寄ると1mの距離が縮まります。互いをサポートすることで、再び信頼関係が生まれ、心豊かな関係性が取り戻せるはずです。
夫婦の形が、夫婦の数だけあるように、「解決策」は人によって違います。
一番いいと思う方法を提案してあげると良いでしょう。
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しかし、そこは両刃の剣なのでしょう。
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家族という小さなコミュニティも組織としての「経営」は必要でしょう。
今の日本社会は、「忙しい日々」が続くようなしくみになっていますが、
家族のあり様が変化してきていることについて、一度手を止めて考えてみるのもいいのかも知れませんね。
ご飯を「分かち合い食べ合う」一番、身近なコミュニティですから。
おしまい
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