ぼくは「学級通信」を作るのがわりと好きです。
時間があれば、どんどん発行したいと思います。
ほとんど毎日発行している先生もおられます。
記事ネタも書くスピードも「すごい!」と思います。
自分は、さすがにそこまでの量は出せませんが。
4月、新しいクラスが始まる日から、担任のクラス経営は始まります。
ポイント
クラス経営の一つの武器となるものが学級通信です。
通信は、自分がいない所でも「言葉」や「指導」が届く長距離砲です。
学級通信は、発行数が決められているものではありません。
一部作ろうとするとまとまった時間もかかるし、極端なことを言えば、一度も発行しなくてもかまいません。
まとまりのあるクラス作りを目指すためには、定期的に発行することをおすすめします。
たかが通信、と思われるかも知れませんが、されど通信です。
親と子どもや、教師と親の関係の中で、「学級通信」が話題提供してくれることも多々あります。
投げかけ方によっては共通の話題や、共通の意識が芽生えてくる学級通信。
今回は、「学級通信」を作る時のポイントについてまとめてみます。
「学級通信」の書き方【フォームを作ればすぐできる】
学級通信を書く方法
①紙面のサイズを決める
どのようなサイズの通信を発行するか紙面サイズを決めます。
ポイント
1年間そのサイズのまま使うことを前提に「判型」(仕上がりサイズ)を決めます。
ぼくの場合は「B5」だと、少し小さすぎて書きたいことが入りきらないのですが、
逆に「B5」版にして頻繁に発行している担任の先生もいました。
サイズは人によってそれぞれですが、「A4」か「B4」サイズが良いでしょう。
たくさん発行したい場合は、B5サイズでもかまいません。
大きな行事の前には「特大号」として
紙面を大きくした拡大版を発行することもあるかもしれません。
教室に掲示する場合などは、そのことも見越してスペースを確保しておくといいでしょう。
また、掲示することを考えた場合
「両面刷り」はあまりおすすめではありません。
片面できっちりおさまるサイズと内容が、一番扱いやすい通信だと思います。
②通信の「タイトル」を決める
ある程度構想があるときは、先に通信の「タイトル」を決めます。
あとから子どもたちに決めてもらう場合は、「クラス名」をそのまま書いて出してもかまいません。
ポイント
通信のタイトルは
クラスカラーが伝わるものや、クラスポリシーが伝わるもの
あるいは、理想のクラスや子ども像をイメージしたもの等がおすすめです。
タイトル部分のデザインやレタリングを子どもに描かせるのもいいかも知れませんが、
その場合は、子どもの人数回分、通信を発行しなければならないというプレッシャーがついてきます。
③「学級通信のひな形」を作る
最初は、時間がかかるかもしれませんが、通信用のテンプレを作りましょう。
「学級通信のひな形」の例です。
ポイント
ひな形イメージを作る。
だいたい、こんなイメージで通信を書いていきます。
横型バージョンですね。
紙を縦にして作ってもOKです。
④構成を考える
通信にどんな内容を入れるか、下書きするといいでしょう。
軽いラフの気持ちで、メモ程度の下書きでかまいません。
なれてくると、頭の中で構成が作れるようになります。
今回の通信の構成は…
テーマ「夢について」
記事内容①「初心」について
記事内容②今の自分と「夢」とのつながり
ハコもの:担任ツイート
ハコもの:担任紹介
ハコもの:来月の予定
簡単な、この程度のメモでも自分の通信にイメージがわきます。
パソコンの前で悩む時間が短くなります。
⑤読み手を意識した文章を書く
子どもに向けた記事なのか、保護者に向けた記事なのかを意識して文章を書きます。
保護者に向けた所がはっきりわかるように、
「保護者の皆さまへ」という囲みを作るものいいと思います。
そして、いずれにしても大事なのは
「簡単な読みやすい文章で書く」ことです。
長々した文章や、「接続」がはっきりわからないような文章は書かないこと。
短文を使用し、「。」で端的に区切って書くこと。
短く、明解な、だれが読んでも読みやすい文章を
書くように心がけましょう。
⑥「ひな形」を使って実際に書く
実際に書いてみると、こんな感じで文章が入ります。
ちなみに今回は「B5」サイズで書きました。
文章のフォントサイズは「10.5pt」です。
学級通信のイメージとしては、こんな感じです。
ただ、この「通信」は何点か課題があります。
気になるところはありますか?
⑦できあがった通信を点検する
自分が作ったという気持ちを取り除いて、初めて見た気持ちで点検します。
漢字の間違いや誤字脱字、わかりにくい表現などは書き直します。
また、テンプレートに合わせることにこだわりすぎず、強調したいところを目立たせてみるなど、文章だけでなく、レイアウトやバランスも見直します。
注意ポイント1
B5サイズで入れてみました。
内容が盛りだくさんで入りきってません。
注意ポイント2
「見出し①」と「見出し②」の内容が、同一テーマの内容になっています。
(①のスペースだけでは書ききれなかったからです)
別に、同じ内容が続いても構いませんが、
B5サイズは少しボリュームのある内容を書こうとすると、すぐにいっぱいになってしまいます。
注意ポイント3
初稿なので、担任紹介をもっと書きたいところですが、
「またの機会に」みたいに、なってしまっていますね。
担任をすでに知っているなら、まだいいですが。
新入生に向けた通信なら、この担任紹介では物足りない!
着任直後の先生も、もっと自己紹介したいですね。
最初の通信はとても大事です。
通信の第一号は、結構気にしてみてもらえます。
自分を一気に知ってもらえる大きなチャンスですね。
「第1号」は年度の初日に発行する
新しい年度の幕開け、初日は「入学式」や「始業式」から始まります。
その日が第1号の発行チャンスです。
新しい年度が始まると、親や子どもの一番の関心ごとは
に尽きるはず。
まずは、この最大の関心ごとに応えてあげることが重要です。
教育観が気になっている
最初の学級通信は
・担任の先生の自己紹介
・担任の先生の教育観
・理想とするクラス像
・理想とする子ども像
など。
子どもにとって、新しい担任の先生が「こわい」か「こわくない」かは重要なことでしょう。
しかし、「こわい」先生でも、子どもたちが支持する先生は、
明確な教育ビジョンがある先生です。
教育ビジョンが開けているかどうかを、自分のクラスの子どもや保護者に伝えることは担任になって一番にしておきたい所。
担任の1年は、最初の1~2週間が決めてしまう、と言っても過言ではありません。
学級通信の「第1号」は新年度の初日に発行することが望ましいでしょう。
「カコミ記事」を想定しておく
「カコミ記事(ハコもの)」とは、文字通り罫線で囲まれた記事、箱型のエリアのことです。
書く内容は、さまざま。
紙面をにぎやかしたり、目線を変えた話題を入れたりできるので、紙面が埋まらないときなんかに融通を利かせることができます。
カコミ記事の内容の例
・授業の一コマ
・先生の子ども時代の遊び
・図書室からの手紙
・今週の名言
・担任ツイート
・最近はまってます!
・隣のクラスの担任トーク
・今月のお誕生日
・宝物特集
・お母さんの想い
などなど。
どんなトピックでかまいません。
毎回定型の話題として、帯で使えるものをあらかじめ集めておくと、紙面が埋まりにぎやかな通信になってきます。
通信は「足」で書くこと
これは昔からよく言われていたことです。
通信は「足」で書く。
つまり、教育現場を見ないと書けない、ということです。
よい学級通信は「子どもの姿」が見えかくれします。
担任が自己満足で書いているものではありません。
これから通信を書いていく人へ
良い観察(=取材)が、良い発信を生み出す
子どもたちの姿が見える場所に行くと、「通信」に書き起こせそうなことがあふれてます。
便利になったもので、最近は、スマホにカメラもついているので、気になった写真をすぐ撮影することもできます。
子どもたちの生の姿を記録し、生の声を発信する。
これだけで、立派な学級通信が発行できます。
そして、発行するときには、できる限り余計な脚色はしないこと。
(子どもの権利を奪うような内容は当然不可です)
脚色をしないというのは、
子どもの「話し言葉をそのまま切り取って書く」ということ。
親に見せるからと言って、きれいな言葉や標準語に置き換えて書く必要はありません。
そのままの等身大の姿を発行すること。
通信を手に取った人が、今、目の前に子どもがいるかのように感じる、そんな「生きた通信」を発行するように心がけたいものです。
子どもに偏りが出ないようにする
子どもによって、通信の紙面に登場する回数に偏りが出ることは避けなければなりません。
写真を撮る時なんかには、写りに来るのが上手い子どもというのがいます。
また、自分も無意識のうちに、同じ子ばかり撮影していたなんていうこともあったりします。
(知らず知らずにカメラを向けてしまう子どもには、他の人や写真屋さんに撮ってもらっても同じようになることが多いです。カメラを惹きつけるものがあるのでしょうか。不思議です。)
とはいえ、登場回数は同じようにしなければなりません。
作文を引用掲載する場合も同様。
「子どもの掲載チェック表」のようなもので管理しておくと無意識のずれを防ぐことができます。
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学級通信のコンテンツ
学級通信は、たくさんのコンテンツが考えられます。
一例を紹介します。
学級通信のコンテンツの例
・通信のネーミング
学級通信のタイトルをどうするか。
子どもに案を出させて決めていくのも一つのコンテンツになります。
自分たちが考えたネーミングだと愛着もわいてきます。
・クラスの方針
担任として、クラスの経営方針を語ります。
こんな風に育っていって欲しい、という担任としてクラス運営で大切にしたいことを書いていきます。
・通信に込めた思い
学級通信を作るにあたっての思いを伝えます。
通信のネーミングを担任が提案した場合は、その意味や意図を伝えるべきです。
学級通信をクラス経営に「位置付ける」ためにも必要です。
・子どもの様子や日常生活
学級通信で、何よりも重要な情報は、子どものことです。
これを積極的に発信しましょう。
担任として子どもをどのように見ているか、捉えているかがはっきりわかります。
いいことばかり書く必要はないと思います。ときには、悪いことも書きます。
・クラスメートの紹介
毎号、だれかをピックアップしてトピック的に紹介してみる。
おすすめは、誕生日月の子どもです。
「今月お誕生日のわたし」のような囲み記事で、写真も添えるとばっちりでしょう。
本人に、インタビューしてそれを記事にしてみると子どもや保護者から注目度があがります。
・授業の様子
普段の授業の中での、発言やがんばっていることなど。
新しい発見や感動があったことなどを書きます。
「あさがおの芽が出たよ」とか、大人には小さなことでも、子どもにとっては大発見です。
また、ゲストティーチャー等の「特別な授業」を実施したことなどを発信するのもおすすめです。
・学習内容とねらい
子どもの学習状況は、保護者は気になることです。
子どもは何を学習している、何に夢中になっているのか。
担任として、ときには学習の「ねらい」について伝えておきましょう。
子どもにとっても「ねらい」や「目標」がはっきりしている方が当然やる気が高まります。
・「保護者への」メッセージ
「お祝い」のメッセージや「お礼」、「協力のお願い」など、
保護者へ向けたメッセージを発信することは少なくありません。
毎月、学校へ何かしら協力してもらっているはずです。
視線の先に、保護者や家庭を見据えて、積極的にメッセージを発信しましょう。
・「保護者からの」メッセージ
「保護者へ伝える」だけでなく、「保護者からの思い」を伝えるのも一つ。
ただ、いろいろな考え方があるので、すべての声を載せることはできません。
クラスの経営方針に沿い、教育効果があると判断できるものを選びます。
アンケートなどで声を集めるといいですね。
うまく取り込めると、学級通信がクラスを飛び出し「より全体的」なものになっていきます。
・クラスの課題や問題
個人が抱えている問題やクラス全体の問題など、クラスではしばしば問題が起こります。
問題を流さずに、言葉で浮き彫りにして伝えることは大事なことだと思います。
子どもはコミュニケーションが未熟です。
子どものコミュニケーションをサポートすることも学級通信ができることです。
・子どもの日記、作品や作文
子どもの書いた文章を載せます。
子どもの視点でしか書けないものはたくさんあります。
定期的に載ると制作意欲にもつながります。積極的に、伝えていきましょう。
注意すべきは、「子ども全員」がまんべんなく掲載できるように。
※載せた子どもはチェックしておきましょう。
・子どもの生の声
今週教室で聞いた「こんな一言」に注目してみます。
「いい言葉」もあれば、「悪い言葉」もあります。
ただし、その言葉の表面だけをとらえず、必ず発した人の「意図」にまで、切り込むことが大切です。
・行事やイベント
学校行事の「進捗具合」や「結果報告」、「役割分担」などを発信します。
行事の前には、気持ちが高まるように書きます。
また、終わってからも「優勝だ!すごい!」だけでなく、
行事を支えるのに見えないところで頑張った子どもがいます。
その見えないことを伝えること。
温もりのある通信が生まれますよ。
・週間予定、月間予定
これからの行事予定についてお知らせします。
・先生からのお願い
保護者へのお願いや、子どもたちへのお願いなどを書きます。
「給食の用意を忘れずに」など。
簡単なことでもいいと思います。
・名言格言
最近気になった名言などを紹介したり、クラスの方針に合うような言葉を載せたりします。
・行事スペシャルバージョン
行事の前の、真剣な取り組みの姿を掲載します。
最初の様子と、本番直前の様子を比較掲載してみるのも成長が感じられるでしょう。
一歩踏み込んだ発展型コンテンツ
学級通信のコンテンツは豊富にあります。
先にあげたコンテンツ以外にも、一歩踏み込んだ通信というのも作れます。
上級編だと思います。
・一点指導型学級通信
何か一つ指導するための特集を組んだ通信。
生徒指導でも百人一首でも、長距離の効果的な走り方でも。
その時々の、学校の状況に応じた指導型通信が作れます。
・クラスの問題解決型学級通信
「いじめ」や「給食の食べ方」、「人のものを勝手に触らない」など
クラスで気になる問題についての考えを深めるための内容を盛り込みます。
問題解決にまでは至らなくても、一石投じることは大切。
周りの「目」がその問題に向くようになります。
・クラスをぶっ壊す型学級通信
行事の前や、結束力が必要な時に発行します。
中途半端な取り組み姿勢や、やる気のなさ等、クラスの課題を指摘して、クラスをぶっ壊します。
一度壊れされたクラスがもとに戻るとき、結束力や団結力が高まります。
同じ失敗をしないようにしよう、という意識が芽生えてきます。
・学力アップ型学級通信
学力アップに特化した内容で発行します。
「勉強のしかた」だけでなく、現在学習している内容などを日常エピソードと一緒に盛り込んだりします。
「活用力」や「定着度」を高めたいときに考えると良いでしょう。
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すぐ書ける「学級通信」の書き方【フォームを作ればすぐできる】まとめ
今回は、学級通信の作り方についてまとめてみました。
「学級通信」では、本当にいろいろなアプローチができます。
だからこそ、作る前に考えてしまいますが、「指導方針」を明確にしておけば、フォームも決まってくるはずです。
ぼくの知り合いには「読まれないと意味がない!」をモットーに書いている人がいました。
読まれる通信を作るんじゃ!
日常生活の面白エピソード中心(自分の恋愛談やヤンキーの話やら)の「型破りな内容」の記事でしたが、
まとめ冊子を読んでいるとき、面白くて思わず声を出して爆笑してしまいました。
学級通信で芥川賞もらうけん。
といっておられました。
切り口はさまざま。
子どもや地域に応じて、自分のカラーを打ち出すことができるはずです。
少しでも参考になれば、幸いです。
おしまい
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