教務主任とは、
「校長の監督を受け、教育計画の立案その他の教務に関する事項について連絡調整及び指導、助言に当たる。」
(学校教育法施行規則より)
と書いてあります。
なんて言われても、
まったく仕事内容がわかりません。。
だいたい、そこに書いてある「その他の教務に関する事項」って何だ?
と思っていました。
「教務主任」を初めて任されることになった先生方へ。
学校運営のために大切な仕事です、お体こわされず、無理しすぎずより良い学校のために。
ぼくは不安でした。
不安でしたが、もともと物事をシンプルに考える傾向があります。
めちゃくちゃ多忙に思える「教務主任」
でもきっとポイントがあるのでは?
この記事を読むメリットは
・教務主任の仕事内容のポイントがわかる
・年度当初に考えることがわかる
・教務主任の業務のアウトラインがわかる
ということで、
今回は、自分の経験を通じ「教務主任の仕事とポイント」についてまとめました。
執筆者について
・中学校の3年間の、教務主任経験をもとに書いています。
Contents
【実はシンプル】「教務主任」って何するの?【はじめての教務主任】
教務主任になる前に
次年度の教務主任を打診されたら
今年度の年間の学校行事をおさらいしておきましょう。
学校でどんなことが、どんな時期にあったのか。
だいたいでいいので、頭にいれておくといいです。
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教務主任の一番の仕事とは
教務主任の仕事は多岐にわたります。
いろいろなことをしなければなりません。
では、その煩雑な業務の中で、もっとも重要なものはなんでしょうか。
ぼくの経験からですが、一番中心にすえて考えてるものがあります。
教務主任の仕事の最重要項目は、生徒の「授業時間数」の管理です。
つまり、時間割を管理すること。
授業時間数を管理するからこそ、教育課程や定期考査や行事計画も一緒に考える必要があるのです。
結局、教務主任の仕事が多岐にわたっているのも、
「授業時数を管理する」ことが根っこにあるからだと考えています。
シンプルにそこだけをおさえて教育計画などの立案を進めていくのです。
そうすると、
という状態のときよりも、
というほうが、思考も整理されやすくて、すっきりします。
教務主任の仕事は
「授業時間数」の管理・カウントを中心に置くと良い
その考え方を持った時点で何をするのかわかります。
そして、年々教務主任としての幅に広がりが生まれるはずです。
では、考え方の準備ができたところで
つぎは、実務を見ていきましょう。
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4月を越えれば流れができる
教務の仕事は、年間通してあります。
特にあわただしいのが「前の年の12月頃から、翌5月頃」までです。
そして、卒業式・入学式がある3月から4月にピークを迎えます。
だから、教務主任になった4月は、いきなりどばっと忙しくなります。
最初は、業務内容もわからないのに、いろいろなことがやってくるので
後追いする仕事も出てきがちです。
教務部の先生方との連携や、自分自身の教務経験を生かす場面になります。
というわけで、4月の仕事について確認しましょう。
4月1日の職員会議
新しい年度が始まり、
新着任の先生方を迎えた初日は、
たくさんの部署の会議が入っています。
職員会議も入っていますが、
それ以外の会議を時間配分し、円滑に回していくのも教務主任の仕事となります。
この日が円滑にまわるように3月末にいろいろと準備をします。
最初に、他の職員に迷惑がかからないように、
スムーズに一日が進むように、
初日から、いろいろと気を遣います。
でも、この日が「一年を決める」と思って力を入れます。
就学者数の管理
1月頃から、次年度の就学者数を気にしています。
そして、3月末にはほぼ入学者数が確定します。
入学式に誰が入学するのかをはっきりさせないといけません。
ところが、年度によっては就学者もあいまいな状態で4月を迎えることがあります。
小学校や役所に問合せして、就学状況を確認しなければなりません。
そんな状況になっていることは、他の先生にはあまり知られていません。
でも、就学者の管理はとても重要な仕事のひとつ。
かならず、入学式を迎える前に確認しておきましょう。
時間割・教科・授業担当者確定
新年度新しい先生を迎え、前年度までとは体制が変わります。
だれが、どの授業を担当するのか、
時間割をどのように編成するのか。
大きな仕事の一つになります。
教育課程自体はあまり大きく変わることはないので、
前年度までの流れを生かしつつ、新年度の編成を考えていきます。
教科の要望をくみ取りながら、時間割を決定していくのですが、
これがものすごい時間のかかる作業です。
実際、教務主任一人ではまかない切れません。
でも、教科の先生や特別支援の先生は
時間割ができるのを首を長くしてまっているはず。
仕事としては重いのですが、できるだけ早く案を出していきたい業務です。
年間祝祭日の確認
毎年、年度が始まる前に
年間の祝祭日を確認します。
とくに、最近は祝日が前年度とちがう日があったりします。
東京オリンピックの影響ですが。
ともあれ、毎年の祝祭日が、市販の手帳やカレンダーと変わっていることもある、ということも念頭に。
前年度末か、年度当初には必ず祝祭日を確認するようにしています。
祝祭日の調べ方
内閣府のホームページで確認しよう!
進路指導にかかわる日程管理
教務主任は、毎月の行事計画を立案していきます。
これも最初は大変です。
行事をはめていく「感覚がない」と、いろいろなことに考えが及びます。
なにを優先していれたらいいのか。
それぞれの行事の間はどれくらいの期間空いた方がいいのか。
会議はどういう順番でこなしていく方がいいのか。
曜日ひとつまで、考えを巡らせていくことでしょう。
中学の最優先行事は
進路関係のものを優先的に決めていくことです。
中学3年生は、「進路」選択という大事な1年を迎えます。
学校行事は、「進路」関係のものを優先的に入れていきます。
優先すべき進路関係…
・受験日
・願書締切
・定期、実力テスト、学テ
・進路対策会議
・進路説明会 など
その中でも優先度があります。
「受験日」や「願書締切」など校外に関わるもので、
日程変更ができないものがもちろん最優先ですね。
逆に、「進路対策会議」など校内の職員だけにかかわるようなものは
融通が利くので優先度は低くなります。
進路にかかわるものは、「重要」かつ何かあったときに「取り返しがつかない」ものです。
進路指導主事と連携して、慎重に予定を組んでいきましょう。
評価方法の確認
新着任の先生は、これまでも「評価」したことがある人でも
その学校での「評価」に関する決まりごとは知りません。
年度の初めには、「評価」方法についての確認を行いましょう。
特に、学習指導要領が改訂されたりしたときには必ず必要になります。
2021年度にも、観点別評価項目の変更がありました。
このようなときは、「評価に関する研修」も実施し、評価方法について確認しておく必要があります。
年間考査
年間のテストの日程について決めておきます。
いつどんな教科のテストを行うのか、
試験時間は何分で実施するのか、
試験教科の順番は、
また、試験のときの決まりごとについても。
(欠席した生徒はどうするのか等)
前の年までの流れがあると思うので、
その流れに添って実施していけばいいでしょう。
前年度、「不備だ」と感じたところは、その都度改定案を出して作り上げていけばOKです。
小中連携に関する内容
小中連携に関する内容についても、
校長の監督を受けつつ、スムーズに決めておきましょう。
小学校の教務主任の先生と連携会議を開いて
その中で協議決定していくとわりとスムーズに決まります。
小中連携は
小学校と中学校の垣根を低くする大事な取り組みです。
ただし、年間の取り組み数を増やせば増やすほど教員の負担が大きくなります。
内容にもよりますが、相手校の職員の負担や生徒の成熟度も考えて、
実施内容や回数などは、バランスがとれるようなものを、検討していきましょう。
入学式・始業式・対面式
いろいろと今年度の決め事を周知し
やっと、入学式にたどり着きます。
入学式の実施要項は、前年度に出ているはずです。
入学者名簿に抜けはないか、
実施要項は計画通り進みそうか。
学校によっては、当日の司会を教務主任がするところもあります。
式典の実施は教務主任にとっては大きな仕事のひとつです。
いろいろシミュレーションが必要ですね。
検診関係の日程確認
これは本来は保健主事(養護教諭)がするものです。
だいたい4~6月にいろいろな検診が入ってきます。
主なものは、内科、耳鼻科、歯科、心臓検診、尿検査などです。
もしも、前年度入っている検診が入っていないのに気づいたら、
保健室の先生に一声かけてみましょう。
新年度当初の時間割
4月の入学式・始業式を終えたら、
最初は、学級開きや年度初めのオリエンテーションから始まります。
始業式を何時からするか。
そのあとのHRを何時間するか。
どんな内容をしなければならないか。
弁当や給食はいつから始まるか。
最初の授業の日はいつからか。
など最初に決めておかないといけないことがたくさんあります。
このときの時間割を考えておくのも教務主任の仕事です。
年度の始まりは担任にとっても、学校にとっても大事な1日です。
緻密にスケジューリングしておきたいところです。
【実はシンプル】「教務主任」って何するの?【はじめての教務主任】 まとめ
教務主任は野球でたとえると「キャッチャー」みたいな仕事だと思います。
派手なプレーみたいなのはあまりないけど、いないと困る。
どうやって組み立てていくかをいつも考えている。
学年やクラスの力が十分に発揮できるように
学校が円滑に運営できるようにリードして、考えていく役割だと思います。
はじめて、教務主任をするときは何をすればいいのか、
なんとなく大変そうだけど、
具体的に何をすればいいのかわからないと思います。
とりあえず、目先のピークは4月です。
4月が円滑に進めば、とりあえず流れができてきます。
4月を乗り切るように頑張ってみることが最初の目標になります。
先に書いたこと以外にも、途中突然「転出入」があったりします。
「転出入」は急に起こります。
そして、生徒や家庭の状態によって、書類の準備状態がちがったりします。
スムーズにいったり煩雑だったりケースがちがうことがあるので、4月に転出入があるときは
できる限り丁寧に書類を進めて、スムーズに手続きが進むようにしたいですね。
また新入生の学籍書類(指導要録や抄本)がそろっているかの確認も4月に行います。
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4月はあわただしい日々が続きます。
でもあまり気負わず、最低限他の教員の業務に支障が出ない程度に「立案計画」し、
できることからじっくり進めていけばいいと思います。
今回は
「教務主任」の「その他の教務に関する事項」について、年度の初めの部分だけまとめました。
少しでも役にたてれば幸いです。
お互い円滑に業務が進むようお祈りします。
おしまい
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