昔からある「PTA」の活動。
近年は保護者にも教員にも「負担」という声が聞こえるようになりました。
「PTA」活動がなぜ必要なのか、
また効率的な運営方法ってあるのでしょうか。
考えてみます。
「PTA」とは
「PTA」=Parent and Teacher Association
学校で組織された保護者と教職員による社会教育関係団体のこと。
児童生徒の健全な成長を図ることを目指すどの機関にも属さない独立した組織。
加入は、公立の場合は基本的には「任意」である。私立では「義務」の場合がある。
任意の加入なので原則的には入会も退会もできる。しかしながら、このような説明はほとんどされず、自動的に会員になる場合が多い。さらには、「在学中一度は役割を担う義務」があったり、「役員免除のための条件」が設けられていたりと、やや制約のある無償ボランティア(厳密には、逆に会費請求があることが多い)という性質をもつ。
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PTA活動の現在
「PTA」については教員でも、「どう組織が結成され、運営されている」のか、あまり知らない人も多いのが現実。
いざ、自分が実際に「PTA」に関わりを持ち出したり、わが子の学校の役員になったりすると、その組織について考えるということもしばしば。
実は、「PTA」は現代の日本の学校にとっては非常に大事な役割を持っています。
公立学校の場合は特に大切な組織です。
でも「PTA」組織を運営することは、教員にも保護者にも負担がのしかかってきます。
ということはわかるのですが、悩ましいところも実に多く残っているのが現状ではないでしょうか。
実際、保護者に過度に負担になる部分については「外部委託」も依頼されています。
ただ、「PTAの外部委託」の割合については、2023年現在まだデータがありません。
外部委託の選択もあるけれど、おそらくほとんどの学校が「内部運営」をしているだろうと思われます。
おおまかなPTA組織図
※学校によって委員会、人数に差異があります。
◆執行部
〇PTA会長・副会長
〇書記・会計(会計監査)
◆専門委員会
〇広報委員会
〇成人委員会
〇校外委員会
〇学年委員会
〇保健体育委員会 等
◆PTA運営委員会
上記の執行部と委員会に合わせて
学校から
〇校長、教頭、教務主任、等が加わって組織されます。
さて、どのような仕事があって、何が負担、何が必要なことなのでしょうか。
PTA活動のはじまりは
「PTA」の活動について見る前に、まず「PTA」の歴史を見てみます。
いつから「PTA」が始まったのでしょうか。
GHQは昭和21年(1946)秋(10月頃か)、文部省社会教育局にアメリカのPTA資料を提示し、日本におけるPTAの結成を指導した。これを受けて、昭和21年(1946)10月19日、文部省内に「父母と先生の会委員会」が設置された。「『父母と先生の会』の健全なる発達を促進する方法を研究審議し、その運営活動に必要なる参考資料を作成する」ことを目的と(委員会規約1条)に、父母、教育者、学識経験者および文部省職員25人でもって組織された。また、文部省ではこの調査審議に並行して、関係者に対し、PTAの設置奨励を始めることになった。
公益社団法人 日本PTA全国協議会
戦後すぐに、「子どもたちが正しい道を健やかに育っていくために、家庭と学校、社会が教育の責任をわけあい、力を合わせることが大切なんだ」という考えのもとで始まりました。
世界的には、1897年アメリカで2人の女性が自発的にPTAを結成したと言われています。
PTAは、学校と子どもの支援に重点をおいた組織です。
もともと学校には潤沢に資金があるわけではありません。
今でも、PTAは社会的な支援の他、経済的な支援をすることも多々あります。
「PTA活動」の持つ「可能性」とは
運営には「負担」も感じられますが、一方で「PTAの持つ可能性」についても考えられることがあります。
PTA組織があるからこそ、生まれるメリットについては以下のようなものがあげられます。
PTA活動のメリット
〇学校と保護者が連携できる、つながりが生まれる
〇学校行事のサポートができる
〇学習環境を改善、向上させる支援ができる
〇地域社会と学校がつながる
〇キャリア教育を支援する
〇資金調達や寄付活動
〇学校内の問題解決の機会が生まれる
〇情報共有と教育活動への参画が生まれる
このようにメリットが多く考えられます。
でも、あれもこれもとなると結局、保護者も教員も運営に手が回らなくなり、組織が疲弊します。
それが、現在の「PTA」となっているのかもしれません。
複数のメリットがある中で、学校にとって「絶対に必要なこと」は何なのでしょうか。
PTAこれだけは外せない!
!PTAと学校との情報共有により同じ方向を向くこと
!PTAは何よりも「地域」というリソースを持っている
!資金調達的な側面がある
!教師ができない学校支援ができる
ここを生かすことが大切だと思われます。
PTA組織の「利点」、さらには「PTAの人にしかできないこと」というのがある。
このような側面から、学校にはなくてはならない存在になっています。
そして、この「強み」の部分を最大限に生かすこと、逆に他の「負担」になっている部分は軽減していくこと、
そこが活動運営に重要なことではないでしょうか。
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PTA活動の「効率的な」運営方法とは
「PTA活動の効率的な運営方法」について考えてみます。
絶対に外せない「強み」の要素を含みながら、運営の仕方について考えてみると。
1「優先項目」を決める
PTA活動には、学校運営にとって「重要なこと」とそうではないことがあります。
今の学校にとって、「PTA」の活動の中で絶対に必要なことは何か。
「重要ではないこと」に力を注いでいないでしょうか。そんなことをすると、学校の先生のような「多忙」さが襲ってくるのは当然でしょう。
学校の業務は、「複眼的に見る」仕事が多くあります。
一つの視点からだけみると偏るので、総合的に見て判断します。だから、すべてのことを高いクオリティーで実施するということは避けた方が無難。
学校の中で、一番必要なことは何か。
他のものに替えることができないものは何か。
「要るもの」と「要らないもの」をはっきり区別すること。
それを最優先項目として活動運営するべきでしょう。
2「コミュニケーション手段」を考える
全員集まって会議する。
このスタイルが毎回必要でしょうか。
大きな行事の前など、必要なときもあるかも知れませんが、毎月毎月会議のたびに集まって話すばかりでは、効率的とは言えません。
ときには、リモートやメール、書面なんかで済ますことも必要でしょう。
会議の時間帯は、大概仕事終わりの夜の時間帯です。
全員が集まれないことも多いはずです。
コミュニケーションは大切ですが、どんなスタイルで行うかについては考えていく方が良いでしょう。
3「役割分担」を最適化すること
委員メンバーの役割分担について、負担がかからないように考えること。
また、専門知識やスキルが生かせる役割にあてることが大切です。
メンバーが得意な領域で活躍することで、負担軽減や円滑な運営ができます。
イベント企画や、資金調達、広報活動、地域リソースの活用などどの分野が得意か、その一つだけの役割をしてもらうのがおすすめです。あれもこれも抱え込むような運営方法は避けた方がいいでしょう。
4「外部リソース」を活用すること
「PTA」がすべての業務を自力でする必要はありません。
なんでも自分たちで解決しようとする思いは大切ですが、実働すると負担が大きくなります。
地域の「企業」や「団体」、または他の「PTA」との連携を活用することで、業務を「外部委託」することができます。
イベントのスポンサーシップの獲得や協力の要請をしたり、専門家や講師の招致をしたり、外部の力を借りて運営することを考えることが必要ではないでしょうか。
「お茶屋さん」と知り合いなだけでも、PTAとして活躍できます。
学校は、自分では「お茶一つ」仕入れることが難しいんですから。
5何か「始める」ときは何かを「やめる」
コロナで一気にたくさんの活動が縮小化されました。
その間は、教育活動も思うようにできず、不自由な学校生活になりました。
しかし、見直された部分も多くあったはず。
非常に多くの活動が詰め込まれていたのではないでしょうか。
コロナが落ち着き、いろいろなものが元に戻っていきます。PTAの活動もコロナ以前にもどるでしょう。でも、すべてを元に戻すとPTA組織はやはり「忙しく」なります。
できること、できないことを見極めるときに、「やる」「やらない」の見極めもしっかりした方がいいでしょう。
また新しく何かを「始める」ときには、今までの何かを「やめる」判断も必要です。
1日24時間、みなさん忙しく過ごしておられることと思います。
なんて時には、ランニングをする代わりに、何かをやめなければ時間が足りなくなりますよね。
活動の充実だけを求めるのではなく、ここも精選して運営されたい所です。
\昭和のPTAを脱却/
\他校のPTAさんは/
\第1章から考えさせられる/
PTA活動の「効率的な」運営方法とは まとめ
何かと、暗黙の制約も多い「PTA活動」、その実態は、それぞれの学校ごとに違っています。
多いのは、「行事の支援」や「資金援助」、「地域振興や安全を守る」活動でしょう。
コロナで活動が縮小化されましたが、その時は本当に必要な活動が残ったのではないでしょうか。
PTA活動への参加や協力に対しては、なかなか「拒否」もしにくいのが現実。また、学校にもよりますが、よほどの理由でない限り役割の「免除」もなかったりします。
しかし、
現在のPTA活動は、少しずつ本当の「自由参加型」になりつつあります。
「自由参加型」の組織では、「やりたいことがある人」が提案し、それを進めて行くスタイル。
それこそが理想的な「PTA」の在り方だと感じます。
また「外部委託」を進めて行くことも一つの手段です。
「外部委託」すると実働面の負担が軽減するだけでなく、
役員同士の「しがらみ」や「いがみ合い」等、本来の組織の主旨と違う問題解決に頭を悩ますことも減ります。
「PTA」に、深く関わると気づくと思います。
「PTA」は表面的にはその功績が見えづらいですが、学校にとっては必要不可欠で重要な組織です。
これからも「PTA」は組織として活躍を続けていくでしょう。
そして、「形」や「あり方」については、少しずつ変えて行けばいいと思います。
おしまい
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